| 東北アジア多者安保協力の実現方案 |
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朝鮮戦争以後、東北アジアにおける「長い平和」(long peace)は、各国の一方的な措置(軍備増強)と二国間協力(軍事同盟)を通じて達成された。だが、こうした方式は、現在、東北アジアに平和と安定をもたらすには限界を示している。例えば、韓米同盟は北朝鮮の従来型攻撃を抑止するのに効果的であったが、核攻撃やサイバー攻撃などの新たな脅威の抑止には効果が限定的となっており、北朝鮮の非核化や体制変化を導くにも役不足である。 既存の安保パラダイムを補完できる代案として、最近「多者安保協力」が注目されている。中国は、「アジア相互協力信頼醸成措置会議」 (Conference on Interaction and Confidence Building Measures in Asia)を開催し、アジアにおける多者安保協力を提案している。韓国も「東北アジア平和協力フォーラム」と「ソウル安保対話」を引き続き開催し、多者安保協力に意欲を見せている。
東北アジアで行われている多者安保協力論議は、おおむねCSCE/OSCEに代表される欧州の経験をアジアで再現することに焦点があてられている。これは「東北アジア平和協力構想」や済州平和研究院が推進してきた「済州プロセス」も同じである。
欧州の多者安保協力は、「トラック1外交」(Track 1)としての政府間の公式外交の産物として、まず各国の代表らが抽象的な原則に合意し、以後、その原則に基づいて協力するという順で進められた。6者会談の決裂、韓日首脳会談と中日首脳会談の遅れで見られるように、最近の東北アジアでは、トラック1外交は順調ではない。また、東北アジア諸国が、欧州諸国のように、まず抽象的な原則に合意し、合意された原則に基づき、多者協力を推進する方式を受け入れるかも未知数である。
東南アジアは、韓国と歴史や文化が相対的に類似しており、韓国のように多者主義の伝統も乏しかったが、短期間のうちに多者安保協力を成功させた事例として指摘できる。民間専門家と個人の資格で参加する官僚、政治家との間で行われる政策対話である「トラック2外交」(Track2)が、東南アジアにおける多者安保協力において、トラック1外交をリードし、補ってきた。この過程でASEAN戦略国際問題研究所連合(ASEAN ISIS)が重要な役割を果たした。
東北アジアでも最初から政府の代表らが参加し、多者安保協力について議論するよりは、東南アジアのように、まず民間専門家と個人の資格で参加する政府の代表らが集まり、比較的自由に多者安保協力の議論を行うことが、より現実的で、よい戦略であろう。トラック1多者安保協力の開始が、現政府の戦略のように、まず協力が容易な「ソフト・イッシュー」を選択することで可能かもしれないが、東南アジアの経験をみれば、トラック2多者安保対話を先行することで促進できるかもしれないからである。
問題は、ASEAN ISISと同じような東北アジア固有の民間専門家協議体が、いまだ東北アジアに存在しないことである。その空白は、既存の民間専門家協議体を活用することで、暫定的に補うことができるであろう。 例えば「アジア太平洋安全保障協力会議」(Council for Security Cooperation in the Asia Pacific: CSCAP)に加盟する東北アジア地域のメンバー委員会を招き、東北アジア多者安保協力のための構想を作成する。それを共同で東北アジアの各国政府に提案するよう働きかけることもできる。というのもCSCAPも既存の制度(ASEAN ISIS)を土台に創設されたからである。
重要なことは、民間専門家による東北アジア多者安保協力構想が、各国政府に受け入れられるためには、構想が作成されるプロセスのintegrityとcredibilityが保障されなければならない点である。代表性、正当性、専門性を有する民間専門家が参加する必要があり、政府は政治的介入や干渉をしてはならない。
多者安保協力は、次第に限界を見せている既存の安保戦略と制度を補完し、究極的に代替できる重要な可能性を備えている。民間専門家の参加が、とりわけ重要ではなかった軍備増強や二国間同盟などと異なり、多者安保協力は、その成功のために政府だけでなくトラック2外交が重要となる。東北アジア多者安保協力の実現のために、民間専門家の力量を強化し、研究者と政策当局との間の対話を制度化することが必要である
[著者紹介] 現在、済州平和研究院研究室長。ソウル大学にて経済学学士および政治学修士を取得。カリフォルニア大学バークレー校で政治学博士(Ph. D)を取得した。 |
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